昨今、企業を取り巻く環境はさまざまな面で変化をしています。
従来通りの業務スタイルでは、成果を上げることが難しい時代に入っています。
そのなかで、営業リソースの不足に頭を悩ませている担当者や経営者は少なくありません。
「営業社員そのものが不足している」
「営業社員の教育をどのようにしたら良いだろうか」
「円滑で効率的な営業活動をするにはどのように取り組むべきか」
以上のようにさまざまな課題や悩みが考えられます。
そこで、この記事では営業リソース不足の原因に触れて、それらを解消する3つの方法、さらに具体的なサービス(ツール)をご紹介します。
ぜひ、営業リソース不足の解消に役立ててください。
目次
営業リソース不足に陥る原因
まずは、営業リソース不足に陥る原因についてご説明します。
離職率が高まっている
営業社員の離職率は、ほかの職種よりも高くなっています。
特に不動産業界や生命保険業界の営業職は、離職率が高い傾向です。
営業職とはいえ営業スタイルはさまざまであり、新規開拓の営業は離職率が高くなっています。
不動産や生命保険は新規営業をすることが多く、離職率の高さにつながっているわけです。
新規開拓の営業は、テレアポなどを活用してアポイントを取ることから始まり、顧客からの信用がない状態でスタートします。
そのため、営業職のなかでは難易度が高くなっています。
毎日、毎月のノルマが厳しく、顧客の希望があれば休日出勤の必要性も出てくるでしょう。
そのようなノルマの厳しさから離職する社員があとを絶たないわけです。
また、対人関係のストレスにより離職する社員も多い傾向にあります。
新規営業のほかに深耕営業、ルート営業があります。
深耕営業は既存顧客のニーズを調査して新たな提案を行うスタイルであり、コミュニケーション能力や戦略的思考が必要です。
ルート営業はすでに取引のある顧客の現状やニーズを調査して、商品や戦略に活かすスタイルとなっています。
いずれも、新規開拓の営業より負担は少ないものの、対人関係やノルマがあり離職につながる場合があります。
労働人口が減少気味
日本は少子高齢化により、労働人口も減少しています。
労働人口が減少しているなかで、離職率の高い営業社員を確保することは容易ではありません。
さらに、政府が推進する働き方改革により、これまでのような長時間労働が見直され、短時間で成果を出すことが必要となってきました。
これにより人的、時間的なリソースの減少という課題が発生しています。
また、営業社員が行う業務は多岐にわたります。
リストアップ、架電、商談、日報作成、報告業務なども営業社員自身が行うことで、顧客との対話に時間があてられなくなっています。
そのため、営業社員の業務の一部をほかの社員に割り振る余裕がない企業は、成果が下がる一方でしょう。
このように労働人口の減少は営業社員を含めた、企業全体の業務効率の低下を招くわけです。
営業マン育成が追い付かない
営業社員の確保だけではなく、その育成が追い付いていないこともリソース不足の原因です。
前述しましたが、短時間労働や人材不足により、営業部門のマネージャー職も部下の育成に時間を取りにくくなっています。
マネージャー職が部下の育成に時間が取りにくい原因には、そのほとんどがプレーイングマネージャーであるからです。
マネージャー職とはいえ、自らもひとりの営業社員であり個人の成果を求められることが多いです。
自分の成果を求めながら部下の育成やチームマネジメントを行うことは、難儀なことです。
「部下を育成したい」
「マネージャー職になる前から社員育成は大事であると痛感している」
という熱意があったとしても、マネージャー自身に時間がなければ育成はできません。
また、指導しても部下のスキルがなかなか向上しない場合もあります。
その原因は指導スキルもさることながら、部下の課題把握やフィードバックをしっかりとできていないことが考えられます。
マネージャー自身も指導力の向上やさまざまなスキルアップが必要となるでしょう。
また、営業社員自身のモチベーションも育成と関係があります。
マネージャー職の業務には、部下のモチベーションを上げることも含まれます。
部下の課題を把握したとしても、課題ばかりを指摘していると部下のモチベーションは下がるでしょう。
課題を指摘しつつ、モチベーションを向上させるような働きかけも重要となります。
このように、営業社員の育成にもさまざまな課題があり、リソースが不足しています。
フリーランス化が進んでいる
フリーランス化が進んでいることも、営業リソース不足に関係します。
フリーランスは特定の企業に属さずに、自らの行動で幅広い企業と契約を交わす働き方です。
特にアメリカではメジャーな働き方であり、フリーランスで働く人は国民の3割ほどになっています。
日本でも近年、フリーランスで働く人が増えてきており、専業や副業も含めると1000万人ほどがフリーランス という統計があります。(フリーランス白書2019より)
フリーランスには、時間に縛られない、年齢や性別が関係ない、人間関係のストレスが軽減できる、収入アップが見込めるなどのメリットがあり、フリーランスに興味をもつ人は今後も増えてくるでしょう。
そうなると、企業の人材確保がより難しくなる可能性があります。
企業がフリーランスを登用することもリソース不足を補う方法のひとつですが、適材適所に能力のある人物を配置することが必要となります。
優秀な人材を配置するにはコストがかかることもあり、簡単にフリーランスを登用できないことも課題といえるでしょう。
営業リソース不足を解消する3つの方法
ここからは、営業リソース不足を解消する3つの方法をご説明します。
方法①Sales Techツールの利用
はじめにご説明する方法は、Sales Tech(以下、セールステック)ツールの利用です。
セールステックとは、営業活動の分野をテクノロジーの力により効率化することです。
アメリカやヨーロッパでは、セールステックの分野にスタートアップ企業が参入するなど市場が確立されてきています。
日本でも耳にするようになってきたのではないでしょうか。
セールステックツールには、以下があります。
・オンライン商談ツール
顧客のもとに訪問することなく、オンラインで商談ができるツールです。パソコン画面を共有して資料を確認しながら商談できるツールが多く、営業の効率化に適しています。さらに、訪問先への移動がないため、交通費や移動時間など商談に関わるコストの削減につながります。オンライン商談ツールは、営業業務が抱える人的リソースの減少を補うことが可能です。
・MAツール
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、国内でも導入が進んでいます。MAツールを使うことで、リスト作成や検討度の高い見込み顧客の抽出が可能です。また、シナリオ設定をすることで、見込み顧客の育成により検討度の向上やコンバージョンにつながります。MAツールの導入と円滑な運用には、多少の工数や時間がかかるものの、軌道に乗ると営業活動を最大限にサポートしてくれます。
・SFA
SFAは、営業活動の効率化やボトルネックの発見により、売上げの向上を目指すツールです。営業のプロセス、進捗状況、顧客の検討度などが可視化できるツールとなっているため、営業部門全体の動きを把握することが可能です。蓄積された情報を分析することで、営業社員の教育に役立てることもできます。
・CRM
CRMは顧客管理ツールです。既存顧客の解析や問い合わせ管理などができます。さらに、メール配信やイベントでの集客なども行い、新規顧客の獲得につなげることも可能です。CRMを活用すると顧客の正確な情報を把握して、顧客それぞれに最適なアプローチができます。
・Sales Enablement
Sales Enablement(セールスイネーブルメント)は、マーケティングや開発など、営業部門以外の部署を含めた営業支援の取り組みです。SFAやCRMだけではなく、セールスデジタルコンテンツ管理ツール(DCMS)も含まれます。DCMSは営業コンテンツをまとめ、顧客への送付や閲覧分析などができるため、顧客の行動分析が可能です。優秀な営業社員がどのような資料を活用しているかもわかるので、営業社員の育成に役立てることができます。
以上のようなツール効果的に使うことで、営業リソース不足の解消が可能です。
方法②営業代行へ委託
営業代行への委託とは、ほかの企業に営業業務を委託することです。
アウトソーシングと呼ばれることもあります。
営業代行へ委託することには、以下のメリットがあります。
・中心業務に集中することができる
・ルーティンワークの品質が向上する
・外部の専門ノウハウを活用することができる
・コスト削減につながる
営業部門のルーティンには、リストや提案書などの書類作成、商談、報告書、日報の作成などがあります。
なかでも顧客と対面する商談が重要な仕事であり、時間を割くべき業務です。
そのほかの業務を外部に委託することで、中心業務に力を注ぐことができるようになるでしょう。
また、書類作成など一部のルーティンワークを外部委託すると、品質の向上につながります。
特に法律が絡むような書類の作成は、知識のある人材に任せたほうが正確に仕上げることが可能です。
営業社員が不足している場合は、営業活動自体を外部委託することも有効です。
営業に特化した会社であれば、優秀な人材が自社に変わって営業を行なってくれます。
自社で営業社員を雇い、育成するよりもスピーディーに成果を出すことができるでしょう。
効率よく成果を出すことができれば、コスト削減につながります。
一方で、営業代行に委託するときは、以下に注意してください。
・社内情報の管理徹底が必要
・自社特有の事情に対応してもらえない
・業務フローにブラックボックスが生じる
業務を外部に委託すると自社の情報を他社に渡すことになるため、顧客情報や社員情報などの取り扱いには委託先との綿密な取り交わしが必要です。
また、情報管理も含め、委託する業務を全般的に外部に任せることもあり、自社の事情をくみ取ってもらえない場合も考えられます。
自社特有の事情があるときは、外部委託は控えたほうがいいでしょう。
営業過程を適宜確認できないなど、業務フローにブラックボックスが生じることにも注意が必要です。
業務実態を正確に把握できないと、さまざまなトラブルが起きる可能性があります。
方法③営業組織・体制を改善する
現状の課題を解決するためには、営業組織・体制の改善も検討しましょう。
やはり、営業体制は時代や世相に合わせて変化することが大切です。
営業組織や体制を改善する際は、現状をしっかりと振り返ってみてください。
「営業トークやスクリプトに古さを感じる」
「優秀な社員を輩出するために研修を週に1回行っている」
「アウトバウンドがまだまだ足りていない」
以上のような課題や取り組みの内容が出てくると思います。
それらから課題を抽出して、何が必要なのかをしっかりと考えます。
「営業エリアの再編、マネジメントの見直し」
「人材の再配置」
などが必要となれば、「営業エリアを拡大してニーズの吸い上げ」「本部制を導入して権限や責任の見直し」と具体策がみえてきます。
このような組織や体制の見直しを行うことで、営業活動の効率化や強化が可能になります。
営業リソース不足を改善するサービス
ここでは、営業リソース不足を改善するサービスをご紹介します。
APOLLO SALES
APOLLO SALESは、新規のアポイントの獲得を目指すサービスです。
新規開拓の営業で手間のかかるリスト作り、現状の非効率な営業活動を解消するためにさまざまな機能があります。
・営業リストの作成
・営業リストに自動アプローチ
・人材不足の解消
営業リストの作成では、インターネット上にある企業情報からリストを作成します。
情報収集も自動で行うため、営業社員が担当する必要がありません。
そして作成したリストに、メールの自動送信やお問い合わせフォームの投稿でアプローチし、スコア化します。
スコアをもとにテレアポするため、アポイントの獲得効率も飛躍的に向上します。
ツールの導入にはしっかりとしたサポートがあるので、新規営業のハードルも下がるでしょう。
コムレイズインキュベート
コムレイズインキュベートは、オンラインのセールスコンサルティングを受けられるサービスです。
営業プロセス単位でのオンライン化、提供会社の独自ノウハウの活用、自社に適したデジタルツールの提案により、オンライン商談をサポートします。
またDX推進として、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスの顧客獲得をできるプランがあり、自社に最適なコンサルティングが受けられるでしょう。
bellFace(ベルフェイス)
bellFaceはオンラインの商談システムです。
顧客に電話をかけて、発行された接続ナンバーを入力して接続ができます。
初めて商談する顧客であっても、名刺プロフィールの表示により自己紹介ができたり、画面共有により資料や議事録を共有することができたりします。
また、録音録画機能があるため、当該社員だけではなくマネージャーやほかの社員でフィードバックすることが可能です。
まとめ
営業リソースはさまざまな要因があり、不足しています。
営業リソース不足を解消する方法は、セールステックツールの活用や営業代行への委託、組織・体制の改善などがあります。
また、本記事で紹介したツールを使うことも有効です。
自社にマッチした方法、ツールを選んで営業リソース不足の解消に努めましょう。