お店を経営していると、このような悩みに直面することはありませんか。
<店舗(飲食店・ネイルサロンなど)経営における悩み例>
- 安定的に商品・サービスを高い品質で提供できない。
- お客様からの評判は良いが、出店立地が悪く、集客がうまくできない。
- お客様は沢山いらっしゃるが、スタッフが足りず、お断りを出してしまっている。
- 優秀な人材を採用しても、すぐに退職してしまう。
- 沢山のお客様が来店してくださるが、収益性が低く、売上が伸びても利益がでない。
特に、10店舗未満の経営をしている場合、商品・サービスを磨いたり、集客方法を考えたり、採用活動を行ったり、PL/BSと言った経営数字を管理するのは、経営者自身になり、日々課題が山積みで、中々前に進めないことも多いのではないでしょうか。
今回の記事では、店舗経営における具体的な課題や対策を通して、店舗経営の改善に少しでもお役立ちできれば幸いです。
目次
店舗(飲食店・ネイルサロンなど)経営における4つの課題とは?
店舗経営における課題とは何なのでしょうか。大きく4つに分けることができます。
<店舗(飲食店・ネイルサロンなど)経営における4つの課題>
- 「商品・サービスの品質」における課題
- 「集客」の課題
- 「人材」の課題
- 「ビジネスモデルにおける収益性」の課題
1.「商品・サービスの品質」における課題
商品・サービスの品質が悪い、もしくは安定していなければ、お客様は定着せず、場合によっては悪い評判が立ち、客足が遠いてしまいます。
2.「集客方法」の課題
良い商品・サービスを提供していても、立地が悪く、看板などのサインが出せなければ、そもそもお客様にお店の存在を気づいてもらえません。また、立地が悪いからと言って、移転をすることは膨大な費用がかかるため、用意ではありません。そのため、立地に頼らずにできる集客方法を常に持ち続ける必要があります。
3.「人材」の課題
お店の規模に対して、働いてくれる人材がいなければ、商売は成り立ちません。人材がいても、一生懸命働いてくれなければ、お店の業績は伸びません。
4.「ビジネスモデルにおける収益性」の課題
多くのお客様がいらっしゃっても、商品原価が高すぎる、家賃が高すぎる、従業員の給与を払いすぎているなど、コスト構造が悪ければ、お店は儲かりません。
このように、お店では大きく4つの課題があり、常に何かしらの課題を抱えています。
「商品・サービスの品質」における課題
「商品・サービスの品質」が、なぜ店舗(飲食店・ネイルサロンなど)経営における課題になるのか。
「商品・サービスの品質」は、店舗経営において最も重要なことの一つです。ラーメン店で言えば、ラーメンの味が美味しくなければ、お客様は二度と来ません。また、お店によって「味のバラツキ」が大きければ、お店の看板としての信頼を勝ち得ることができず、客足は離れてしまいます。
どういった対策ができるのか。
では、具体的にどのようにして、商品・サービスの品質を高めたり、安定供給ができるようになるのでしょうか。
まずは現状を把握する。
対策を講じるためにも、まずはお店の品質がどうなのか。客観的に把握する必要があります。
- 食べログ・ホットペッパー・ぐるなびなどのレビューサイトにおけるレビューや口コミ内容を確認する。
- お客様に、お店の品質におけるアンケートを依頼する。
- 同じ地域にある同業と比較してみる。
- ミステリショッパー(覆面調査)を活用する。
などの方法があります。
商品・サービスを改善する。
お客様の声を客観的にひろい、課題が把握できたら、次は商品・サービスを磨き、改善します。
商品・サービスを検証する。
商品・サービスが改善できても、そのまま放置してはいけません。改善した結果、品質が改善されたのか。再びお店の現状把握を行い、検証する必要があります。
商品・サービスを磨き続ける。
検証した結果、品質が改善されて、再び客足が戻ってきても、それで満足してはいけません。「美味しいものは飽きるもの」と言う言葉の通り、お客様は日々いろいろな商品・サービスに触れて進化しているため、自分たちも進化し続けない限り、その客足は続きません。
では、具体的にどのように自分たちも進化し続けたらいいのでしょうか。
3ヶ月、6ヶ月、1年に1度など、商品・サービスを振り返り、「磨く」ための現状把握と改善を「お店の決まりごと」として、定期的に行うことで、「磨くきっかけ」をその決まりごとの頻度毎に作ることができます。
根本的に品質を安定化させるための打ち手とは?
根本的に商品やサービスの品質を安定させるための打ち手はあるのでしょうか。答えは「YES」です。
飲食店の場合
セントラルキッチンを作り、食材の加工や調理を集約させ品質の均一化を行う方法があります。まとめて調理することで、品質の安定化だけではなく、人件費の削減などにもつながる打ち手です。
ネイルサロン・リラクゼーションサロンなどのサービス業の場合
研修施設を作り、業界に関する知識や施術の技術習得を集約させ、品質の安定化を行う方法があります。サービス業の場合、介在する人によってサービスのばらつきがでやすいため、同じ看板なのにもかかわらず、担当するスタッフによって、施術内容が全く異なることが多々あります。
また、これによってブランドを傷つけてしまうことも多々あります。
研修施設の役割は、同じ品質水準まで知識と技術を仕上げるだけではなく、店舗でも同様の施術サービスが提供できているか、チェックする機能を設けることで、よりその意味を成します。
ネイルサロンやリラクゼーションサロンの場合、国家資格はなく、全て民間資格のため、お客様との信頼を勝ち得るためには、より品質の向上が求められます。
「集客方法」の課題
「集客方法」が、なぜ店舗(飲食店・ネイルサロンなど)経営における課題になるのか。
「集客」は出店している立地などの環境に大きく左右されますが、一度出店して、立地が悪いからと言って、すぐに別のお店へ移転することはできません。
従って、既に出店している場合はコントロールできない「立地」以外の方法で、「集客方法」を考える必要があります。
また、「予約」を伴うネイルサロンのような業態は、基本的に飛び込みでの来店はありません。そのため、自社のホームページやホットペッパービューティーなどの媒体を活用し、「予約数」を伸ばす仕組み作りができなければ、安定した売上を望むことはできません。
どういった対策ができるのか。
では、具体的にどういった対策をすれば、安定的に集客することができ、売上を伸ばすことができるのでしょうか。
まずは現状を把握する。
対策を講じるためにも、まずはお店の「集客状況」がどうなのか。客観的に把握する必要があります。HPの内容や出稿しているホットペッパーなどの媒体における予約までのプロセスを分解し、他社比較することで、自社の集客がうまくいっているか否か、判断することができます。
<媒体における予約までのプロセス>
- 一覧ページPV
- 詳細ページPV
- 予約ページPV
- 詳細ページ/一覧ページ遷移率
- 予約ページ/詳細ページ遷移率(CVR)
上記のPV数や遷移率を他社比較することで、どこに課題があるのか。仮説を立てることができます。なお、ホットペッパービューティーなどの媒体社へ集客の相談を行い、他社との比較数値が欲しいと打診すれば、親身になって相談にのってくれるでしょう。
PV数が少ない場合
エリアにおける掲載順位が低く、そもそも閲覧されていないため、掲載プランを見直し、掲載順位をあげることでPV数を増やし、予約数を改善する必要があります。
CVRが低い場合
沢山の方に見ていただいているにもかかわらず、予約しないということは、掲載原稿の見直しやクーポンの見直しをする必要があります。掲載原稿に関しては、来店動機においてはインパクトは小さいため、来店動機においてインパクトの大きいクーポンの出し方を変える必要があります。
「クーポン」を変更する。
クーポンはお客様の来店動機における最もインパクトの大きいものの一つになります。他社で成功しているクーポンを把握しつつも、自社でテストを行い、自社にあった集客方法を見つける必要があります。店舗の業種や業態によってもテストをする視点は様々ありますが、代表的なテストの視点をご紹介致します。
「割引率表記」と「割引後表記」による予約率(CVR)の高低
同じクーポン内容でも、「割引率表記」と「割引後表記」では、ユーザーの反応が2倍以上異なる業種もあります。「割引率表記」とは、定価に対していくら割り引くかを表記するもので、「割引後表記」とは、割引した後の価格を表記するものになります。
例えば、5000円の商品・サービスを2,980円で提供する場合、割引率は40.4%。割引後の価格が2,980円になります。
他にも違った視点でクーポン内容を改善することができるので、クーポンの良し悪しを評価するための視点を複数持っておくと良いでしょう。
「集客数」が伸びたか、検証する。
クーポンを変更したことで、集客数が伸びたか否か。他社のプロセスパフォーマンスと対比させて比較します。比較した上で、その施策が良かったか、悪かったか。他に改善点はないか、検証します。
「集客方法」を磨き続ける。
検証した結果、大幅に集客数が改善されたとしても、それで満足してはいけません。検証と同じように、毎月集客状況を他社や自社の前年・前月と比較して、クーポンが飽きられていないか。他に人気のある同業のサービスがないか。常に目を光らせて、改善し続けることが、恒常的な売上拡大につながります。
「人材」の課題
「人材」が、なぜ店舗(飲食店・ネイルサロンなど)経営における課題になるのか。
「人材」は2つの視点でお店のボトルネックになる、大きな課題の一つです。
- 人材によって、商品・サービスの品質が変わる。
- 人材がいなければ、サービス提供ができない。
商品・サービスに関しては、飲食店であれば料理の味が変わるリスクがあり、サービス業であれば、提供するサービスの内容や技術が劣化し、お客様に不快な思いをさせてしまうリスクがあります。
人材不足の観点は、特にネイルサロンやリラクゼーションサロンなどのサービス業の場合、1席(床)に対して1人の施術者が必要なビジネスモデルのため、いくら席(床)数が多くても、そもそも人材が揃っていなければサービス提供できず、売上の上限も決まってしまいます。
そのため、人材の確保に関しては、店舗経営において死活問題です。
どういった対策ができるのか。
「人材」の課題に対する対策は、上記でも触れた通り、商品・サービスの向上に対する対策と、「人材の採用」に対する対策では打ち手が異なります。
商品・サービスの向上に対する対策
- 商品・サービスを向上させる上で考えられる対策は、以下があげられます。
- 商品・品質の点検基準を作る。
- 食べログやホットペッパーなどの口コミを定期チェックする。
- ミステリーショッパー(覆面調査)を活用し、客観的なお客様の意見を元に、品質チェックする。
- セントラルキッチンを作る(飲食店の場合)。
- 研修施設を作る(ネイルサロンやリラクゼーションサロンなどのサービス業の場合)。
商品・品質の点検基準を作った上で、その基準にスタッフが満たない場合は、再研修を行い、基準に達するまで店舗で勤務できないなどのルールを設けることで、品質の劣化を防ぐ仕組みを作りましょう。
また、ミステリーショッパー(覆面調査)によるお店の点検は、少なくとも1年に1回は行いましょう。
人材の採用に対する対策
人材の採用に対する対策は、以下があげられます。
- 自社のミッション・ビジョンから、人材採用の要件や採用基準を明確化する。
- 選考の標準化を行うために、面接時の面接シートを作り、選考を標準化する。
- 採用ファネル(応募、面接、内定、入店までの歩止まり)を他社比較した上で、自社の採用ファネルを作り、採用プロセスが良いか、悪いかを適宜検証し、改善を図り続ける。
- 採用媒体意外の自社採用のチャネルを作る。
採用はお店の品質にも関わる重要な業務のため、面接担当者の主観で採用するのではなく、自分たちのお店にとって必要な人材はどういった人材なのか。そのためにどういったことを聞けば、人材の見極めができるのか。
標準化することが重要です。
また、「継続的に採用できる」状態にするには、採用ファネル分析を毎月行い、プロセスを管理をすることで、課題の発掘から改善までをスピーディーに行う必要があります。
特に、店舗規模が二桁を超えてくると、人材の採用と退職のバランスが崩壊し、退職者が人材採用を上回ることで、店舗売上が物理的に伸びない状態に陥ってしまうため、早い段階から仕組み化することが重要です。
自社採用サイトの活用例
採用媒体意外で、自社採用サイトを構築し、リスティング広告やSNS広告で自社に興味・関心のある層に求人情報をリーチし、応募者を増やす施策が考えられます。採用媒体意外の第二の柱を作ることで、より強固な採用活動が可能になります。
自社採用サイトの活用例としては、以下をご参照いただければ幸いです。
【自社採用サイト活用例】 ●リラクゼーション業界 1.株式会社メディロム(Re.Ra.Ku):https://seranabi.jp/ 2.株式会社ボディワーク(ラフィネ):https://www.bodywork.co.jp/recruit/ ●ネイル業界 1.株式会社コンヴァノ(ファストネイル):http://www.fastnail.jp/recruit/career/ ●エステ業界 1.株式会社ミュゼプラチナム(ミュゼ):https://musee-pla-saiyou.com/exlp/ ●飲食業界 1.株式会社ダイヤモンドダイニング:https://diamond-dining-job.jp/
「ビジネスモデルにおける収益性」の課題
「ビジネスモデルにおける収益性」が、なぜ店舗(飲食店・ネイルサロンなど)経営における課題になるのか。
お店として利益を出し、成長し続けるためには、
- ・売上を伸ばす
- ・原価を下げる
- ・販売管理費を抑える
ことが必要です。いくら売上を上げても、原価率が高ければ、薄利多売で多くの売上がなければ、利益は残りません。
また、いくら原価率を抑えても、出店している場所の家賃が高すぎたり、過剰に広告費をかけすぎてしまえば、利益は出ません。
そのため、予め自社の理想的なビジネスモデルとして、売上に対しての原価率など、以下の主要なものの割合を定めておく必要があります。
売上対
- 原価率
- 広告費率
- 家賃比率
- 人件費率
こういった指標を作ることで、出店時には、家賃に対して必要な売上が算出でき、そこまでの売上が成り立つか否か、検証することで、出店の可否を判断することができます。(店舗の業態によって指標が異なるため、具体的な「%」は表記していません。)
また、原価率に関しても、店舗規模が大きくなった際に、仕入原価を下げることが、その分利益改善につながるため、常に指標と照らし合わせて現状を点検する必要があります。
代表的な店舗業のKPIの目安
一般的な目安としては、
- 売上原価+人件費率の目安
- 飲食店(FL比率※):50%以内
- ネイル・アイラッシュサロン:50%以内
- リラクゼーションサロン:50%以内
各業種毎に、50%以内が目安になります。ただし、売上原価や人件費の割合は、業種毎に異なります。
飲食店であれば、売上原価率30%以内、人件費率20%以内になります。
ネイル・アイラッシュサロンは売上原価率5-10%以内、人件費率40-45%以内になります。
リラクゼーションサロンは、売上原価がないため、人件費率50%以内(別名施術原価)が指標になります。
※FL比率とは、F=food(原価、材料費)、L=Labor(人件費)を足した費用の割合(FLコストは、foodコストlaborコストの合計値のこと)のことを示します。
まとめ
いかがでしたか。
店舗経営には課題はつきものですが、その中でもボトルネックになりうる4つの課題と対策について、ご紹介させていただきました。どれか一つが欠けても、店舗経営に大きな支障をきたすため、「なんかうまくいかないな!?」と思ったら、4つの視点で自店を客観的にみることで、「解決のいとぐち」がみえるのではないでしょうか。
事業は「始める前に計画を」しっかり立てることで、良いことも悪いことも振り返りをして、改善を計っていけるので、しっかり計画を立てて、毎月振り返りを行うことで、経営をブラッシュアップしていきましょう。
是非参考にしていただければ幸いです。
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