コトラー教授が定義するマーケティング4.0(自己実現マーケティング)とは何か。

マーケティングという言葉は良く耳にする人も多いと思いますが、「マーケティングって何?!」って聞かれると、明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。

今回の記事では、マーケティングの定義やフィリップコトラー教授が提唱するマーケティング4.0について、ご紹介致します。

マーケティングとは何か。


wikipediaの「マーケティング」を引用してみると…

マーケティングについて、最も広く知られているフィリップ・コトラーの定義によれば、 「マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセスである。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

上記のようになりますが、今一ピンときません…。さらに以下をみてみると…

売れる仕組み

マーケティング概念を日本語で平易に言い換えた売れる仕組みという表現が存在する。この言葉は、次のような意味がある。

売れる

商品・サービスが「売れる」ようになるためには、特定のターゲット顧客のニーズを知り、ニーズを満たす商品を開発し、顧客がその商品の存在を知り、特徴を理解し、手に入る場所に商品が置かれ、入手できる適切な価格で提供されている必要がある。これらの一連のプロセスが「売れる」という言葉に集約されている。

仕組み

また、これら顧客を意識した一連のプロセスは、企業内で意識して統合・調整しないと成し得ず、長期的な収益貢献が見込めないため、「仕組み」と表現されている。マーケティング意識がまだ十分に醸成していない組織のためには、しばしば「売れる仕組みづくり」と組織の変容を促す表現で使用される。

セールス

マーケティングとセールスとは混同される場合があるが、それは誤解である。マーケティングとは冒頭記述のように経営戦略とならぶ企業活動の中核にあたる一連の行為であり、セールスとはコミュニケーションの結果で購入を検討している顧客候補に対してクロージング(買う決断を手助けする、つまり売る)をするという「マーケティングのほんの一部にあたる行為」である。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0

マーケティングを整理すると、市場(顧客)のニーズ(求めていることや課題)に応えて、収益を上げる(顧客の課題が解決されることを含む)活動(広告、セールス含む)のことなのではないでしょうか。

「顧客」とは、自社のビジネスを提供する「お客様」は勿論のこと、会社内の人事という立場であれば、従業員が「顧客」に辺り、マーケティングの論点は常に、「顧客の課題や求めていること。さらには顧客の気付いていない価値創造」であると言えます。

また、ネスレ日本代表取締役社長兼CEO高岡 浩三氏によると、顧客が既に認識している問題を解決することは「リノベーション」であり、顧客がまだ認識していない問題の解決は「イノベーション」であると表現されており、今回ご紹介する「マーケティング4.0」では、この「イノベーション」が重要であると言えます。

マーケティング4.0とは


マーケティング4.0とは、2014年に東京で開催された「ワールドマーケティングサミット」で、フィリップコトラー教授が初めてその概念を提唱した考え方になります。
マーケティング4.0の概念を紐解いていくには、マーケティング1.0〜4.0に至る歴史やマズローの欲求5段階説が「キー」になります。

マーケティング4.0を紹介する上で、以下のスライドが分かりやすいので、ご紹介します。

%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%82%b1%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%b3%e3%82%af%e3%82%994-0出典:http://www.slideshare.net/yasunaok1/ma-48083023

人々の欲求の階層が変わると、その人の求めているニーズが変わり、そのニーズの変化に対して、マーケティングのやり方も変化していかなければ、競争に打ち勝つことはできません。

マーケティング1.0〜製品中心の志向〜

モノがなかった時代には、市場に顧客が求めているモノを知らせる(認知)ことで、モノが売れました。これがマーケティング1.0の世界。

モノを提供する企業としては、以下に市場に認知させるかがマーケティングのキーであり、マスメディアでの認知が最も適していたと言えるかもしれません。

マーケティング2.0〜消費者志向〜

マーケティング2.0とは、IT技術が発達し、モノあまりの現代マーケティング。
経済成長と共に市場にモノが沢山投下されますが、成長が鈍化し、社会が成熟すると共にモノあまりの時代に…

また、PCおよびインターネットの一般化によって、今では比較サイトが当たり前になる中、顧客は情報を簡単に手に入れて、比較することができるようになりました。

このような状況の中、企業は顧客の期待に応えるために市場をセグメント化し、自社が競争に勝てる特定の分野選択と集中をし、他社への優位性を保つマーケティングを行うようになり、リスティング広告等のターゲティング系のインターネット広告が急拡大しています。

マーケティング3.0〜顧客の価値志向〜

モノあまりの時代では、顧客から見ればニーズは一定レベルで満たされている状態のため、単に市場にモノを投下しただけでは、顧客の購買意欲を満たすことはできません。
顧客の潜在している「ウォンツ」を満たすモノやサービスに対して、価値を見出すように変化しています。
また、顧客の生活が安定しており、「社会への貢献」を顧客が考えるようになっています。
このような背景の中、マーケティング3.0では、顧客の心理に応えるため企業のビジョン、ミッションに基づいたブランディングを行い、共感してもらえるかどうかが重要になります。

コトラー教授によると、マーケティング3.0では、「消費者の心、感情に対して訴求すること」が特徴であり、「どういう社会をつくるのか」や「世界をよりより場所にする」などコンセプトになっています。

facebookやtwitterといったSNS(ニューウェーブ技術)が発展したことで、製品のストーリーや製品に込められた想いに対する共感がネットやSNSで拡散され(新しい形での口コミ)、他者へとシェアされることで製品が購入される時代になっています。

マーケティング4.0〜顧客の自己実現志向〜

コトラー教授は、マーケティング4.0における自己実現を、マズローの欲求5段階説の中の「自己実現の欲求」をモデルとしており、「自己実現のマーケティング」とも呼ばれています。

「自己実現の欲求」とは、自分の持つ能力や可能性を発揮し、具現化して、自分がなりえるものになりたい欲求のことです。

マーケティング4.0では、その製品やサービスが顧客にとっての自己実現に結びつくかが論点になっています。

「自己実現のマーケティング」と聞くと、中々イメージしずらいかもしれません。例えば個人がメディア化(ブログ等)して、自分のライフスタイルや価値観を発信していくことで、読み手(フォロワー)の潜在的欲求に働きかけることで、情報の受信者である読み手が気付いていない潜在的なニーズをお越し、価値提供をするというのもマーケティング4.0なのかもしれません。

マズローの欲求5段階説とは

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出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%B2%E6%B1%82%E6%AE%B5%E9%9A%8E%E8%AA%AC_(%E3%83%9E%E3%82%BA%E3%83%AD%E3%83%BC)#/media/File:Maslow%27s_hierarchy_of_needs.png

マズローの欲求5段階説とは何なのでしょうか。wikipediaによると…

欲求段階説(よっきゅうだんかいせつ)とは、アメリカ合衆国の心理学者・アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものである。また、これは、「マズローの欲求段階説」、自己実現理論とも称される。

マズローが提唱した人間の基本的欲求を低次から並べる。
生理的欲求 (Physiological needs)
安全の欲求 (Safety needs)
社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
承認(尊重)の欲求 (Esteem)
自己実現の欲求 (Self-actualization)

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%B2%E6%B1%82%E6%AE%B5%E9%9A%8E%E8%AA%AC_(%E3%83%9E%E3%82%BA%E3%83%AD%E3%83%BC)

これは、人間の欲求を5つの階層にした考え方で、1つの欲求が満たされると、次の欲求が生まれていくもので、生理的欲求から承認(尊重)の欲求までを欠乏欲求としてまとめており、最後の自己実現の欲求を存在欲求とまとめています。

マーケティング4.0に関る自己実現の欲求とは、自分の持つ能力や可能性を発揮し、具現化して、自分がなりえるものになりたい欲求のことです。

自己実現の欲求 (Self-actualization)
以上4つの欲求がすべて満たされたとしても、人は自分に適していることをしていない限り、すぐに新しい不満が生じて落ち着かなくなってくる。
自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して自分がなりえるものにならなければならないという欲求。すべての行動の動機が、この欲求に帰結されるようになる。
これら5つの欲求全てを満たした「自己実現者」には、以下の15の特徴が見られる。
現実をより有効に知覚し、より快適な関係を保つ
自己、他者、自然に対する受容
自発性、素朴さ、自然さ
課題中心的
プライバシーの欲求からの超越
文化と環境からの独立、能動的人間、自律性
認識が絶えず新鮮である
至高なものに触れる神秘的体験がある
共同社会感情
対人関係において心が広くて深い
民主主義的な性格構造
手段と目的、善悪の判断の区別
哲学的で悪意のないユーモアセンス
創造性
文化に組み込まれることに対する抵抗、文化の超越

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%B2%E6%B1%82%E6%AE%B5%E9%9A%8E%E8%AA%AC_(%E3%83%9E%E3%82%BA%E3%83%AD%E3%83%BC)

 

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こちらの「マーケティングのすすめ」は、フィリップ・コトラー教授とネスレ日本株式会社代表取締役兼CEO高岡浩三さんが共著された本になります。

今回紹介させていただいたマーケティング1.0〜4.0の内容は勿論のこと、ネスレ日本におけるマーケティング事例が載っているので、「これからのマーケティング」を考える上では、オススメの本です。

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まとめ


いかがでしたか。

発展途上国等、人口の増加と共に経済も継続的に増えている時代には、モノを提供することで、顧客のニーズを満たすことができました。
しかしながら、日本のように成熟した経済環境で、人口も高齢化し、減少するような国においては、各々の自己実現の欲求に対して、どのように応えていくのか。あるいは期待を越えていけるのかが問われているのではないでしょうか。

マーケティングに関る人間として、今後どのように顧客のハートをくすぐったり、感動させるようなサービスが出てくるのか。楽しみであり、自分自身がそういったことを仕掛けられる人間でありたいと思うこの頃です。